コレって性病の症状!?と不安な女性のためのサイト

当サイトの登場人物(医師、看護師)

患者さんの信頼に応える医師が目標

雅治(医師:40代):私大医学部→同大学病院の婦人科→地元に戻り婦人科クリニックを開業して3年目。名前はイケメンだが、顔は湿気ている自称"シケメン"。研修医時代に指導医から「ニセ福山」という渾名を付けられた悲し過ぎる過去を持つ。日々の診療では、STD(性感染症、性病)に対する若者の認識不足を痛感している。家庭では2女の父。

ナースは笑顔も大切

奈々(看護師:永遠に20代):看護専門学校→企業系総合病院(病床数600)の泌尿器科→結婚・出産を機に退職→1年のブランクを経て、現在のクリニックを開院当初からサポートしてくれている看護師さん。姉は循環器内科医、兄は某製薬会社のMR(医薬情報担当者)というバリバリの医系家族。酔っぱらうと先輩ナースにため口で絡むのが玉にキズ。1男1女の母。

広く使用されてきた「性病」という表現は、1999年の「感染症法」によって法律上は「性感染症」に変更されました。

しかし、現在でも一般の方には「性病」という表現が浸透していることから、本サイトでは管理者の判断で「性病」と表記している箇所があります。ご了承ください。

婦人科で診察する主なSTD(性感染症)の潜伏期間と症状

性病の中では最大の不妊原因です

クラミジア(潜伏期間は1〜3週間):クラミジア・トラコマチスと呼ばれる微生物が、子宮頸管や卵管に感染します。おりものが少し増えたり、外陰部に違和感がある程度の症状しかでないため、放置して感染を広げていることがあります。下記の淋病と同じく不妊の原因となったり、産道感染で新生児が肺炎や結膜炎になることもあるため、早期の治療が大切です。

男性では尿道の違和感やかゆみ、まれに発熱やリンパ節の腫れなどの症状が現れます。感染が拡大すると前立腺炎、男性不妊の原因として最も多い精巣上体炎にもなります。

検査方法は、女性では子宮頸管の分泌物を採取したり、子宮頸部の組織を綿棒で擦り取ってクラミジアが検出されないかを調べます。男性の場合、尿道に綿棒を挿入して細胞を採取したり、採血をおこないます。

喉の感染は症状が現れにくい

淋病(潜伏期間は2〜10日):女性は淋菌が子宮頸管や卵管、肛門などに感染しますが、男性と比較して症状はおとなしく、自覚症状が全くない人もいます。しかし卵管や子宮内膜が炎症で癒着を起こすと不妊症や子宮外妊娠の原因になります。検査は膣分泌液を採取して調べます。

男性は淋菌が尿道に感染して、排尿時に強い痛みがあったり、尿道から膿状の分泌物が出ます。尿を採取するだけでも診断は可能ですが、詳しく調べるためには、尿道から出る分泌物を顕微鏡で調べたり、菌を培養する必要があります。

症状はデリケートゾーンのかゆみ

膣カンジダ(潜伏期間は一定しない):カビの一種であるカンジダ菌は健康な人の皮膚や消化管に存在する常在菌ですが、ストレスや疲労、生理、睡眠不足などが原因で免疫が低下すると、活動を活発化させます。女性では外陰部の強いかゆみ、白いチーズようなオリモノが増えるのが大きな特徴です。ヘルペスと同様に何度も再発する煩わしい性感染症です。

悪臭がして泡立つオリモノが特徴

膣トリコモナス症(潜伏期間は1〜2週間):トリコモナスという原虫に感染して、黄色っぽい悪臭を放つオリモノが増えたり、外陰部の強いかゆみ等の症状が現れます。オリモノを採取して顕微鏡で原虫を調べれば、診断は容易につきます。デリケートゾーンのトラブルの原因はトリコモナス膣炎か膣カンジダであることが多いです。

抗ウイルス剤でも排除できない

性器ヘルペス(潜伏期間は2〜10日):単純ヘルペスウイルス(主に2型)に感染して、ペニス、外陰部、肛門周辺に水ぶくれ(水泡)ができる性感染症です。水ぶくれはやがて破れて潰瘍を形成し、強い痛みがあります。女性は排尿もつらく、歩行が困難なほどの痛みが強いことがあります。

抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビルなど)の治療により2〜3週間で症状は治まりますが、ウイルスは体外に排除されることなく神経節(神経の根っこの部分)に潜伏を続けます。そして、ストレスや生理などの影響で再発を繰り返します。皮膚症状が独特なため、婦人科、皮膚科、性病科の医師なら診断は容易ですが、必要な場合は水ぶくれの汁を採取してウイルスを検出したり、採血で抗体を調べることもあります。

風俗を利用した男性の感染に注意

梅毒(潜伏期間は10日〜90日):性行為で感染するSTD(性感染症)としての歴史は長く、梅毒トレポネーマと呼ばれるスピロヘータ(細菌と原虫の中間的な存在)に感染することで、陰部のしこりやリンパ節の腫れ、微熱、全身倦怠感、バラ疹(バラのように赤い発疹)などの症状が現れます。

特効薬のペニシリンが開発される1950年代までは、心臓や血管、脳、脊髄などが侵されて死に至る恐ろしい病気でしたが、現在は早期の段階で抗生物質の大量投与による治療すれば完治します。

ペニシリンの開発以降、日本国内における感染者数は激減し、男性の同性愛者間でしばしば感染が見られる程度でしたが、近年は若い男女間に流行の兆しが再び見え始め、過去5年間で感染者は3倍になっています。特に2014年、2015年は2年連続で過去最高の感染者数が報告されました。

性器周辺のピンクもしくは白いイボ

尖圭コンジローマ(潜伏期間は約90日):主にセックスや類似性行為を介してヒトパピローマウイルス(HPV)の6型と11型に感染して、膣・子宮頸部・肛門などに淡紅色や褐色のイボが現れます。自覚症状はありませんが、痛みやかゆみを感じて、患部を指で触れたりすることで感染に気付くこともあります。

男性も感染して、同様の皮膚病変が現れますが、コンドームでは覆いきれない肛門や陰嚢(玉袋)といった場所にもイボができるので、100%の予防はできません。

感染予防の基本はコンドーム

エイズ(潜伏期間は5〜10年:近年は短縮傾向に):主に性行為を通じてHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染・発病すると、免疫に重要な働きをしているヘルパーT細胞を破壊して免疫力を大きく低下させてしまいます。その結果、健康体なら増殖することはない細菌や真菌(カビ)などが繁殖(日和見感染)して、ニューモシスチス肺炎、サイトメガロウイルス感染症などの感染症や、リンパ腫、カポジ肉腫、皮膚がんなどの悪性腫瘍などを発症してしまうのです。

HIVに感染しているかどうかは、採血をして抗体の有無を調べる「HIV抗体検査」でわかりますが、抗体はHIVに感染してから6〜12週間しないとできないので、感染が疑わしい行為をしてから3か月以上経過してから検査を受けましょう。

HBワクチンで予防ができます

B型肝炎(潜伏期間は平均90日):かつては母子感染が主要な感染ルートでしたが、妊婦検診でHBs抗原検査が導入された現在では、ほとんど心配ありません。近年は膣液や精液に存在しているB型肝炎ウイルス(HBV)にセックスで感染する男女が増えています。

感染して急性B型肝炎を発症した場合、大半は自然治癒するため問題ありませんが、慢性化しやすい遺伝子型のウイルスの感染が増加しており注意が必要です。感染が慢性化すると、徐々に肝細胞が壊されていき肝硬変、そして肝臓がんに進行します。HBワクチンでウイルスの感染予防ができます。

新薬の登場で治療の選択肢が広がる

C型肝炎(潜伏期間2〜14週間):C型肝炎ウイルス(HCV)はHBVに比べて感染力は強くないため、セックスで感染することはそれほど多くはありませんが油断は禁物です。2015年には従来のインターフェロン療法を必要としない飲み薬「ソバルディ」と「ハーボニー」が日本でも発売され、その高い治癒率だけでなく1錠あたりの価格(約6万円と8万円!)も注目されています。

20歳を過ぎたら子宮頸がん検診を

子宮頸がん:年間に約3,500人が亡くなり20代、30代の若い女性に増えているがんです。主にヒトパピローマウイルス(HPV)の16型と18型に長期感染することで発症します。セックスの経験のある女性の多くはウイルスの感染の経験がありますが、ほとんどは免疫で排除されます。

子宮頸がんの予防ワクチンとして「サーバリックス」と「ガーダシル」の接種が開始されましたが、子宮頸がんを100%予防できるわけではないので、20歳を過ぎたら定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。

なお、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染=子宮頚がんではないので、正確に言うと子宮頸がんはSTD(性感染症)ではありません。

近年の性感染症の傾向:症状が現れにくい、喉への感染の増加、薬剤耐性菌の出現

 

近年の性感染症の傾向としては、まず【自覚症状が現れにくい】ことが挙げられます。性感染症の代名詞ともなっている「クラミジア感染症」は、従来、膿の混じったオリモノが出たり、排尿時の違和感、下腹部痛、不正出血、性交痛といった症状は現れやすかったのですが、現在では自覚症状が全くない女性が約80%とされています。

クラミジア感染症に限らず、淋病、B・C型肝炎、HIV感染症など性感染症が全体的に初期症状が出にくくなっています。これを「無症候化」と呼んでいます。無症候化の怖いところはハッキリと症状が自覚できた頃には病気はかなり進行してしまっているということです。

例えば、クラミジア感染症と淋病は、症状がないまま感染が子宮頸管から卵管、お腹の中に広がると不妊の原因となりかねません。また本人が知らない間に彼氏に病気を移してしまい、二人の関係に亀裂が入ってしまうこともあるんですよ。

次に【喉に感染する女性が急増している】という点も見過ごせません。現在の若い人たちは口による類似性行為(オーラルセックス)に抵抗を感じることは少なく、ある調査によると20〜30代の女性の約70%はフェラチオ等のオーラルセックスを経験済みというデータがあります。

オーラルセックスは望まない妊娠のリスクはゼロですが、性感染症のリスクに関していえばかなり危険です。というのも、喉の粘膜は弱いためちょっとした刺激で傷ができ、オーラルセックスを介してクラミジアや淋菌などが侵入してしまうからなんです。

クラミジアと淋菌は複合感染を起こしやすいため、喉に二つの菌が感染してしまっている女性も少なくないんですよ。喉の感染は性器の感染に比べて、完治するまでに2倍以上の期間が必要とされているのも厄介なところです。

そして最後に【抗菌薬が効きにくくなっている】ことも大きな問題です。性感染症の治療には原因菌に対応した抗菌薬の投与が欠かせませんが、通常の投与量では薬が効かない、いわゆる「薬剤耐性菌」が増えてきているのです。

例えば、淋菌には従来、「テトラサイクリン系」および「ニューキノロン系」に分類される抗菌薬が非常に有効だったのですが、現在では淋菌の80%以上が耐性を持っているため、通常は使用されません。

同じく淋菌に有効だった「第三世代セフェム系」にも耐性を持った淋菌が増加し、現在は淋病の患者さんの30〜50%には効果が見られないため、治療の際の選択肢からは外れています。

このように近年、性感染症を取り巻く環境は、私たちにとって厳しいものになってきています。かつてのように風俗で遊ぶ一部の男性が感染する特殊な病気ではなく、普通のカップルでも十分に感染リスクがあることを覚えておきましょうね。

「彼氏は元気そうだから、病気は移っていないよね?」という都合のよい解釈して、感染の事実を伝えないのは危険!

 

性感染症はパートナーのどちらか一方だけが治療しても、主に性行為を通じて病原菌がパートナー間を簡単に行き来するから、双方が感染してしまったり、再感染する恐れがあるんだ。

しかし、自身が性感染症なってしまった場合、「彼氏以外の男性とセックスをしたのがバレるかも…」、「感染の事実を知られたら、軽蔑されて別れを切り出されるかも…」といった不安からパートナーに感染の事実を伝えない女性は少なくないんだよ。

「彼氏に病気が移っていたら、なんらかの症状が出ているはず。元気そうだから、感染してないってことよね?」と都合のよい解釈をして、自身を納得させている患者さんを多く見てきたけど、性感染症には症状が現れるまでの「潜伏期間」があるし、自覚症状がほとんどない性感染症もあるんだ。

特に自覚症状が現れにくいクラミジアは、そのまま放置していると男女共に不妊の原因となってしまう。勇気を出して感染の恐れがあることを告げ、二人で一緒に婦人科、泌尿器科、性病科などを受診して、検査と治療をすることが大切なんだ。

不安でドキドキ?始めて婦人科を受診する際にこころがけたいこととは?

 

婦人科で行う診察の内容や検査項目は、医療機関によって若干の違いはありますが、「問診」にはじまり、「内診」、「血圧測定」、「採血」、「検尿」などを行います。

そのほか、場合によっては「腹部超音波検査」(腹部エコー)、膣内から子宮や卵巣の様子を映し出す「経膣超音波検査」、細胞組織の検査などが必要なこともあります。

受付を済ませたあと、問診票が渡されますので、あらかじめ必要事項を記入します。必要事項としては、まず婦人科の受診理由の記入が求められます。例えば、生理の異常不正出血オリモノの色や臭いの異常、外陰部のかゆみ・ただれ、下腹部痛・腰痛、子宮頸がん検診を受けたい、生理をずらしたい(ピルの処方)、妊娠の診察…などですね。

医療機関によってホームページから問診票をダウンロードできるところもありますので、混雑している待合室で色々と記入したくない方は時間を節約できます。

「ニオイや汚れがあると恥ずかしい」という理由で婦人科を受診する前に、シャワーやビデで膣の中を洗ってくる女性は少なくないのですが、これはNGなんです。

婦人科の検診では膣内の分泌物の検査が必要になることが多く、シャワーやビデで洗ってしまうと、正確な検査ができなくなってしまうんです。膣内の洗浄は検査後に医師が行いますので、会社帰りの方も帰宅しないで、そのまま受診しても大丈夫なんですよ。

婦人科を受診する際の服装です。内診は下着を脱ぎますが、ゆったりとしたスカートは履いていても大丈夫です。パンツやタイトスカートでも問題ありませんが、内診の際に全部脱がなくてはならないので面倒くさいかと思います。

フレアスカートなら、内診台に乗るとき以外は腰回りを隠すことができますので、緊張感も多少は和らぐのではないでしょうか。

性感染症やホルモンバランスを調べる際には採血を行うこともあるので、上着は袖を簡単にたくしあげられるものがいいでしょう。

婦人科に持参するものとしては、保険証を忘れないようにしましょう。妊娠の判定やピルの処方(一部を除く)は健康保険がききませんが、そのほかの治療や検査は保険扱いとなることがほとんどです。

排卵の有無などを診断する際には「基礎体温表」があるととても役に立つので、普段から基礎体温表を付けている方は持参してくださいね。

医師による問診では、必要な検査や治療を見極めるためにいろいろなことが訊かれます。まず、最後の生理がいつだったのか、さらにその前の整理がいつ始まったのかも正確に覚えていると助かります。また、生理の周期や、初経(初潮)の年齢も必ず訊かれますので、あらかじめメモしておくとよいでしょう。

セックスの経験の有無、妊娠や中絶の経験などプライベートに関して答えにくい事柄も診察をするうえで大切な情報となります。恥ずかしがらずに正直に答えてくださいね。

症状は、言いにくいかもしれませんがなるべく具体的に伝えてもらえると正確な診断ができます。例えば、「2週間くらい前から膿のような黄色いオリモノがでる」、「生理と生理との中間に、ナプキン3枚程度の出血ある」、「○月×日に生理があったきり、今日まで生理がきていない」など、おおまかな数字が入っていると助かります。

そのほか、治療中の病気がほかにあったり、服用している薬があれば必ず話してください。アレルギーの有無や高血圧などの体質に関する情報も重要になります。場合によっては使用ができない薬もあるからです。

ただ、ここまで話したことはあくまでも理想です。明らかに異常な症状(セックス後の出血など)があったら、膣内を自分で洗ってしまった後でも、セックスの後でもかまいません。なるべく早く婦人科を受診するようにしましょう。