内診は妊娠初期、不正出血やオリモノの異常の診断、子宮頸がん検診に欠かせません

 

奈々(看護師):このサイトでは10代から40代まで、女性ならば誰でも可能性がある性感染症や生理のトラブルなどを見てきましたけど、婦人科の検査の基本である「内診」がどうしてもイヤという女性は少なくありませんよね。

内診の写真

内診は、妊娠初期の診断にはじまり、おりものの異常の診断・治療、不正出血の診断、外陰部の異常の診断、排卵の診断、子宮頸がん検診など、婦人科で診察するトラブルを調べるうえで欠かせないものなんですけどね。

 

雅治(クリニック院長):うん。生理痛や下腹部痛、不正出血、おりものの色や臭いがいつもと違う…などの気になる症状を自覚しながらも、「内診が恥ずかしい!」「内診って痛いらしいから行きたくない」などの心理的なハードルがあるために婦人科の受診を躊躇したり、「もう少し様子を見てから決めよう」と自分を納得させた結果、病気が進行してしまうことも少なくないよね。

確かに内診台に下着を下ろして座って、医師から外陰部を観察されたり、膣内に指を挿入されるのは誰だって嫌だというのはよくわかるんだ。10代から20代の女性だともう緊張感がビンビンに伝わってくるし。

他のページでも少し触れたけど、僕はペニスの周囲に粉瘤(脂肪や老廃物が溜まってできた良性の腫瘍)ができたことがあるんだ。

粉瘤を除去するための手術を受けた際には、内診台に似たベッドに横になって足を開いた状態のまま、看護師さんから陰毛を剃られた(剃毛)よ。

手術中も医師の視界も遮ってはいけないからと、下半身はカバーもかけずに20分間くらい、看護師さんには丸見えの状態だったんだ。だから女性の気持ちはよくわかる。

でもね、内診は婦人科ではごく日常的に行われている検査だから、診察している医師はなんの意識もないんだよ。もちろん患者さんの心情はよく理解しているつもりなので、内診は3分程度で終わるように心掛けているんだ。

 

私も総合病院に勤務していたころは泌尿器科でしたから、下半身を医師や看護師に見せなければならない患者さんの気持ちはわかります。

でも先生のおっしゃるとおり、職業的な目で患部に異常がないかをみているので、性器そのものに関して、性的にどうということは絶対ないですね。

婦人科で内診という検査を行うということを全く知らない10代の患者さんもたまにいらっしゃいますよね。

「内科の医師が聴診器をあてて体の中を調べたり、耳鼻咽喉科の医師が喉を診るのと同じように、婦人科の医師は内診をキチンと行わないと病気の診断がつかないことが多いんですよ。」という説明をしても、どうしても内診を受けたくないという患者さんには、婦人科で無理に内診をすることはないですよ。

内診はしないで血液検査をしたり、お腹の上から行う超音波検査などで済ませることもあります。

 

そうだね。じゃあ、初めての人もいるから内診がどういうものかを簡単に説明してみようか。

内診台の患者と女医さん

内診の際に膀胱に尿がたくさん残っていると、超音波検査で鮮明な映像が得られなかったり、膣の入り口から子宮までの距離が長くなって内診が難しくなることがあります。だから内診を受ける前には、トイレを済ませてもらう必要があるんですよ。

まず下着を取って内診台(イラスト参照)に乗っていただきます。スカートをはいたままでも大丈夫です。足を所定の位置において、仰向けになります。内診台は自動的に上昇し、足は徐々に開いてきますがなるべくリラックスしていただきたいと思います。

内診をする医師と顔を合わせると恥ずかしい思いをする患者さんが多いことから、通常はお腹のあたりでカーテンが引かれていますが、逆に「医師の顔が見えない方が不安」という方もいますので、その場合は遠慮なくお声がけください。

 

まず外陰部をキレイに洗浄しながら、炎症やできものなどがないかを調べます(視診)。続いて、おりものやびらん(ただれ)、膣や子宮頸管を調べるため、鳥のくちばしのような形をした「膣鏡(クスコ):写真参照」という器具を膣の中に入れて観察します(膣鏡診)。

クスコで膣を観察

そして細長い綿棒のようなものでおりものや細胞を採取して、クラミジア淋病子宮頸がんなどを調べます。

次に使い捨ての無菌手袋を着用し、膣の中に片方の指を入れて、もう片方の手で軽くお腹を押さえて、両手で子宮を挟むような形で触診します。これを「双合診」といいます。

実際に指を入れて、子宮を両側から押すことで、子宮の位置の異常や、大きさ、硬さ、腫瘍の有無、痛みなどを確認できます。例えば40代の女性に多くみられる「子宮筋腫」があると子宮が大きくなり、また、筋腫は硬いので、内診だけで子宮筋腫であることがわかります。

内診の際に緊張しすぎて痛みを訴えることもありますが、普通は違和感こそあっても、痛みはほとんど感じないはずです。もし痛みがある場合は異常があるためかもしれないので、我慢しないで医師にその旨を伝えてください。

 

続いて超音波検査をします。お腹の上からプローベ(探触子)と呼ばれる超音波の発信・受信機をあてるよりも、膣専用のプローベ(写真参照)を膣内に入れた方が子宮や卵巣の詳しい状態を知ることができます。

経膣エコーのプローベ

膣内から子宮や卵巣の状態を調べるこの検査を「経膣超音波検査」といいます。この検査を行うことで、子宮筋腫、卵巣嚢腫、卵巣の癒着、排卵の準備の状態などが分かります。

他の画像診断と異なり、患者さんも実際の映像をリアルタイムで見ながら、医師から説明を受けることができます。

お疲れ様です…というわけで、これで全て終了です。膣内のおりものなどを洗浄する必要があれば、膣鏡を再度入れて洗浄液でキレイに洗い流します。