つらい生理痛や不正出血はもうイヤ!ピルが解決する女性の悩みを年代別に紹介します

 

雅治(クリニック院長):前回はピルの効用や副作用に関する話をしたので、生理痛や月経前症候群(PMS)の症状の緩和、大人のニキビの治療、婦人科系のがんの予防になるなどの避妊以外の効用も多いことが理解してもらえたと思うんだ。

このページでは、ピルが緩和・解消に役立つ女性のトラブルを年代別に紹介みていこうと思うんだ。「ピルってひょっとしたら私に合っているかも…」と思った人は読んでみてね。

 

奈々(看護師):婦人科の医師は、患者さんがピルを使用する目的(生理のコントロール、大人ニキビや肌荒れの改善、生理痛やPMSの不快な症状の低減、避妊ほか)に合わせて、適切なピルを選択し、保険適用が可能な場合は保険を使って処方してくれるから、気軽に相談してほしいですね。

初潮を迎えた女性ならばピルの処方は可能ですので、中学生でもお母さんと一緒にクリニックに来られることも少なくないんですよ。

 

うんそうだね。じゃあ、ピルが緩和・解消する女性特有のトラブルを年代別に見ていこうか。

最初は10代の女の子。日本人は平均12〜13歳で初潮が始まるけど、最初の数年間はダラダラとした生理が続いたり、生理の周期が不安定な傾向にあるんだ。

こういう場合、ピルを飲むことで10代の女の子に多い、生理周期の乱れや不正出血を止めることができるよ。

また10代は子宮の発育が未熟だったり、女性ホルモンの変動が大きいため、我慢できない生理痛がやってくる「月経困難症」を発症しやすいんだけど、ここでもピルは有効なんだ。

高校受験や大学受験、修学旅行、スポーツの大会など大切なイベントに生理日が重なって、痛みを我慢したりトイレの心配をしなければならないのは大変だよね。ピルを飲めば大切なイベントに生理日が来ないようにコントロールすることが可能なんだ。

ほとんどの場合、生理を1週間程度遅らせることは簡単にできるよ。また、生理の予定がわかっている場合は、婦人科を早目に受診してもらうことで生理を早くすることもできるんだ。

 

20〜30代は女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌が一番安定している年代ですので、生理の周期は一定です。しかし、過労やストレス、無理なダイエットなどが原因で生理不順になってしまう女性が後を絶ちません。

また子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所に発生・増殖して、強い生理痛を起こす「子宮内膜症」が起こりやすいのも、20〜30代です。ピルはこれら生理不順を改善したり、子宮内膜症のつらい症状を緩和するのに役立ちます。

20〜30代の女性の大切なイベントといえば、結婚式とハネムーン旅行ですが、純白のウェディングドレスを着る日に生理日が重なるのはやはり避けたいものですよね。ピルならば生理日をずらすことができるので、安心ですね。

出産経験のある女性に多いのが、生理前の決まった時期になると激しい腹痛、腰痛、肩こり、倦怠感、イライラなど不快な症状がドバーッ!とやってくる「月経前症候群(PMS)」です。ピルはPMSによるこれらの不快な症状も低減ることができるんですよ。

勿論、ピル本来の効用である「ほぼ確実な避妊」によって、夫婦の生活プランを主体的に設計することができますよ。

前回の記事で先生がお話ししたとおり、男性がコンドームを着用していても女性の6人に1人は妊娠しているというのが現実ですから、ピルは心強い存在となります。

 

40代になると女性ホルモンの分泌が衰え始めるので、生理のトラブルが増加するんだ。具体的には、生理周期が乱れたり、生理前の不正出血が続いたまま生理を迎えてしまう「黄体期出血」などを発症しやすくなる。

更年期(45〜55歳)の少し前に起こりやすい不正出血を緩和するためには、ピルのホルモン量がピッタリなんだよ。数年間はピルを活用して、更年期がやってきたら、ピルよりもホルモン量を低く抑えた「ホルモン補充療法(HRT)」に切り替えることが多くなるかな。

 

近年はピルに関するカウンセリングと処方を専門としている「ピル外来」を設けているクリニックも増えているから、近所にピル外来がある人はそちらに相談してみるのもいいかもしれませんね。

ピル外来は、皆さんの対応にあたる看護師もピルに関する専門のトレーニングを受けているところが多いから、ピルが初めての方でも安心できるんじゃないかしら。

未だに、ピルの処方には婦人科医による「内診」が必須と勘違いしている女性は多いみたいですけど、それは国内で避妊経口薬としてのピルが初めて承認された当初の頃の話なんです。

現在、ピルの処方に必要となるのは基本的に「問診」と「血圧測定」だけとなっているので、患者さんの負担も少ないですし、処方までの待ち時間もそれほどかかりません。

ただし、医療機関によっては初回診察時のみ、「血液検査」で血栓症のリスクチェック、肝機能のチェック、貧血の有無、コレステロール値を調べたり、「超音波検査」で子宮や卵巣の状態を調べたりすることもあります。

血液検査で上記の項目を調べるのは、血栓症や肝機能障害、脂質異常症がある方は、基本的にピルを処方することができないためです。

 

ピルの処方は一部の保険適用薬を除いて自費診療の扱いとなるため、保険適用外となってしまうんだ。処方機会の多いピルは「アンジュ」、「トリキュラー」、「ラベルフィーユ」、「マーベロン」あたりだと思うけど、料金は2,500円〜3,150円だよ。初診時はこれにカウンセリング費用、検査費用などが加わるよ。

保険適用外の場合、医療機関で通常に処方されるお薬と違って、1回にまとめて長期間のピルを処方することが可能なんだ。

でも、ピルに限らず薬の長期間の服用は肝臓に負担がかかるから、半年から1年に1回は定期健診として血液検査をして肝機能の数値をチェックする必要があるんだ。